元プロの整備士がトライシケルの運転と構造を解説!サイドカー体験記
前回、トライシケルの購入や製作過程について
レポートしました。
まだ読んでない方は下記の
トライシケル走行レポート
トライシケル初心者ながらしょっぱなから50kmの試運転
工場で完成したトライシケルを受け取ったのは自宅から50km離れたアンヘレス。
そこから帰宅しながらの試運転ということになります。
さすがにちと、キツイですね。
既に行きで片道50kmをバイクのタンデム走行で敢行しています。しかも今日は日差しも強く、オマケに日除けの長袖シャツを忘れました。
(早朝出発だったので油断しました。)
すでに日焼けで腕が赤くなってきてます。
トライシケルの洗礼、激しいハンドルジッター
まーそうはいっても帰らないと( 一一)同行のラミルのアニキをサイドカーに乗せて、最初なのでおそるおそる発進。
まず最初に苦戦したのはハンドルのジッタ―(振れ)。
これは腕力でハンドルを押さえつけなければいけません。
特に路面の凹凸がある所では手に負えない位のジッタ―が…まずもってバイクに乗るときに使う筋肉ではありません。
モトクロスとかカートやった時みたい…翌日は筋肉痛でした。
あとで分かったことですが、
- 力が入りやすいようにハンドル位置を調整したり
- サイドカーの取付角度を調整して
車両全体のアライメントを出すことでジッターの改善?ができるそうです。
しかしサイドカーが積載か空荷かだけでアライメントは変わりますので、あくまで緩和策。完全な解消ではありません。
バイクの右ペダル下とサイドカーの結合部の写真。
ここにかましてあるカラーの長さを調整することでサイドカーに対するバイクの取付角度が調整できるようになっています。
追記2018.12.24
サイドカーの足回りが固すぎたようです。
足回りの大掛かりな改良(溶接されているスプリングを切断して新たにスプリングを設置)でジッターはほぼ解消しました。
続いて日差し。運転席のルーフの効果
工場を出発して間もなく渋滞に遭遇。
日差しが肌に刺さります。
『トライシケルだから、屋根あるんじゃない?』
そう思った方いません?
私もそう思ってました。この時まで。
実際は違いました。屋根が守ってくれるのは頭部だけ。
日差しはあらゆる角度からやってきます。
屋根から遠い脚はもちろん、ハンドルを持つ腕もモロに日差しにやられます。
そりゃそーですよね( *´艸`)
腕と脚の日除けは別途必要。
高速?走行
日差しに焼かれたら今度はハイウェイです。
高速道路ではありませんが、速度が一気に上がります。
私のバイクはTMXでも150ccで排気量の大きい方。
ここいらの道路の制限速度60km/hまでストレスなく加速していきます。
しかしご注意。スピードは出せますが止まりません。
何せサイドカーにはブレーキはついてません。バイクについてる2輪のブレーキだけで止まらないといけません!
ブレ―キロックなんてさせようもんなら
どこにスピンして行ってしまうかもわかりません。( ゚Д゚)
あとサイドカーのサスペンションは簡素です。
バネはついてますがショックアブソーバーは
基本ありません。
分かりにくい写真かもしれませんが、サイドカーの座席を外した所。足回りがむき出しになります。
サイドカーのサスペンション。
ロアアーム部分は太い鉄筋を曲げて製作しています。
追記2018.12.24
バネはなんと鉄の丸棒を曲げてコイル状に…しかも溶接されてる!切断しないと足回りが分解できません( ゚Д゚)
コレは最近交換しました。
あと時速60kmとかの速度ででギャップに突っ込んだりしたらもうOUT!
ギャップの大きさにもよりますが、フルパンプどころの話ではありません。
足回りや車体が損傷します!
ハイウェイは比較的路面がフラットで凸凹が少ないので走りやすいですが、
油断は禁物。ここはフィリピンです。
どこに突然ギャップが現れるか分かりません。
安全に走るなら50km/hは超えないほうが無難ですね…
車幅感覚と車線変更
これは一般のサイドカー付きバイクと同じですが、車幅感覚や車線変更は慣れが必要ですね。
ドライブポジションがバイクなので、ついついバイクの車幅感覚で追い越しを掛けたくなってしまいます。
うっかりすればサイドカーが前方の車に激突!
なんてのは気を付けないといけませんね。
あと車線変更の時に右後方が見えない(+o+)
これはサイドカーの車高にもよりますが、後日右後方が見えるようにミラーを追加。
フロントスクリーンの付け根部分にバイクのミラーを無理付け。
運転席から見た感じ
でもルーフキャリアに荷物のせると見えなくなっちゃうな…(*_*)
一般道や住宅街での走行
大通りから住宅街などの狭い道に入ると、
- 路面の凹凸
- 狭い道幅
- 急に停車するジープ
- その他もろもろ…
にさらなる注意が必要です。
40km/h以上出すのは危険ですね。
これは運転に慣れてきた現在でも変わりません。
特に住宅街に入ると、路上のいたるところに
ハンプ と呼ばれる人工的なギャップがあります。
バイクや自動車の速度抑制のためのモノですが、とりわけ足回りの貧相なトライシケルには大きな障害となります。
ハンプに気づかずに突っ込もうものなら、サイドカーの中の人跳ね上がってが頭をぶつけてケガをします。
そのくらいハンプは危険なので、
① ハンプをよけて通る
② 乗り上げる前に1速まで減速
いずれかが必須となります。
その後、早くも不具合箇所発見
コレは新しく完成したサイドカーの納車当日の出来事です。
工場から帰宅の途中早速のトラブル発見。
走行中の異音に気が付き、調べたら溶接部が破断してる。
ダメ出しをしに50km離れた工場に再び戻るのは面倒なので自分で溶接。
ついでに下廻りのサビを見つけたので塗装しようとしたら、
とさらにもう一か所の溶接破断を発見。
帰り道で飛ばし過ぎたのかなぁ?
それからサイドカーにストップランプやヘッドランプを付けてくれたんですが、なぜかバイク側まで配線してもらえませんでした…
自分でできますからいいですけどね( 一一)
見えないところはしっかり手を抜かれた…
フィリピンは侮れません(笑)
参考 購入したサイドカーの価格
サイドカー本体及び塗装、電装品その他取り付け一式
50,000ペソ 約12万円
追加 バイクのフロントスクリーン
1000ペソ 約2400円
TMX150の新車購入
69000ペソ 約16万5千円
全部合わせて
12万ペソ 約28.8万円
バイクもサイドカーも相場でいえば高額の部類に入ると思います。
(近所の人のサイドカーの価格を聞いたらコレの半分くらいでした。)
板金作業や塗装の工程から考えて、日本じゃとてもこの価格では作れません。
サイドカーは倍以上かかると思います。
まとめと感想
実際にトライシケルを所有してみてわかったことがたくさんありました。
日本にもサイドカー付きのバイクはあります。
しかしその多くは重量が重く、ロングホイールベースで直進安定性の高いアメリカンのバイクがベースとなります。
フィリピンのトライシケルは100cc台の排気量の小型バイクを使います。
安定性に欠ける小型バイクをサイドカー付きにすると、結果としてとても扱いにくく危険なモノになってしまいます。
でもバイクより圧倒的に高い積載性やその他の利便性は、まだ自動車に手の届かない庶民には欠かせないようです。
先立つモノがないから
- 多少の危険性は二の次。
- 扱いにくいがそれもまた二の次。
- それでもこの便利さゆえに手放せない
先進国みたいに『製品が進化して万人に順応する』のではなく
『使い勝手の悪い製品に人間が順応していく』このスタイルは、
先立つものがまだない東南アジア独特の文化、生活様式のように思われます。
日本にもかつての時代には『オート3輪』と呼ばれる乗り物がありましたが、社会と経済の成長とともに姿を消していきました。
フィリピンにも将来、経済成長によって庶民が手軽に自動車を購入できる時代が来れば、日本のようにトライシケルは廃れて行くのだと思います。
あとはマニアックな愛好家の持ち物になるんでしょうね。(笑)
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