違法?『ツーリスト(観光)ビザ』移住・長期滞在をオススメしない理由
これまでにフィリピンのビザに関する記事をいくつか書いてきました。
こういったビザ関連の取材をしていて気になったコトがあります。
『日本人はツーリストビザがほぼ無条件でもらえるので、わざわざほかのビザを取る必要はない』
的なコトを書いてい居る人が散見されます。
確かに日本人はツーリストビザがほぼ自動でもらえます。
ツーリストビザの延長手続きを繰り返せば3年までの長期滞在が可能です。
上記は一度出国すれば何度でも繰り返す事ができます。
気軽にフィリピンに来ることができる大変ありがたい制度です。
私自身、ツーリストビザで1年以上フィリピンに滞在していた経験があります。
しかし本当にそれでよいのでしょうか?
想定されるリスクやデメリットについて、自身の経験と合わせてまとめました。
まずはツーリストビザの定義。言葉の意味から
ビザを大きく分類すると、移民ビザ(イミグラントビザ)と非移民ビザ(ノンイミグラントビザ)という区分があります。
ツーリストビザは当然、後者、非移民ビザという事になります。
※詳しくはフィリピン移住でも起業でも!ビザの種類&簡単な用語説明!
査証(ビザ)の主目的は、入国しようとする外国人が入国するにふさわしいかを事前判断する身元審査である。
引用元:Wikipedia
ツーリストビザで滞在する外国人はフィリピン当局(入国管理局など)からすれば、
移民(≒移住)するものとしての審査を受けていない外国人という事になりますね。ツーリストビザ=商用・観光ビザですから。
ツーリストビザのメリット・デメリットをカンタンにまとめ
フィリピンから移住の許可はおろか審査すらも受けていないツーリストビザ保持者。
しかしかつての私も含めて多くの人がそうしているように、
ツーリストビザでフィリピンに入国
⇓
そのままステイ
⇓
滞在延長を繰り返して長期滞在
する事自体は可能です。
実際にやってみて感じたメリットとデメリットをまとめます。
メリット
- ツーリストビザはカンタンに取得できる(日本人ならほぼ自動)
- ツーリストビザは延長費用とACR-Iカード(60日以上の場合)の費用だけなので、他の多くのビザより割安感がある。
⇒滞在期間が短い場合に特にメリットが大きい - 再入国申請費用や旅行税などフィリピン出国時の諸費用が発生しない
⇒入出国が頻繁な人ほどメリットが大きい
デメリット
定期的(1か月~1年)毎にBI(入国管理局)で延長の申請が必要なので面倒くさい
ツーリストビザは入国時29日間の滞在許可がもらえます(日本人の場合)。
その後の延長は30日。BI(入国管理局)でお金払って申請します。
その次の延長から1か月~1年の延長が可能ですが、小さい支局では長期の延長は受け付けてもらえないようです。
ワタシはアンヘレスの支局で2か月の延長を繰り返してました。
期限切れになってしまうとペナルティ。
定期的に通うのが面倒くさかったです。
1度出国したら無くなるビザなので、再入国してもACI-Rカード以外の手続きはゼロからやり直し
長期間の延長をしても、1度出国したらリセットです。
フィリピンに戻っても上記の29日からやり直し。
もちろん、長期の延長で多く払ったお金は戻りません。
BIへの行ったり来たりが忙しくなります。
ACR-Iカード(有効期間1年)だけは再入国後もそのまま使えました。
新旧ACR-Iカード。でもツーリストは有効期限1年だけ。
フィリピンへ行く度に『帰りのチケット』を用意しないといけない
ツーリストビザは長期滞在できますが、あくまで前提は『短期滞在』。
その根拠としてこんなルールがあります。
「ビザの無い人(ツーリスト)は帰国用の航空券(または第3国へ出国できる航空券)を事前に持ってないと入国できない」
元々出国する予定があり、帰り(フィリピン出国)のチケットがある人は問題ありません。
※帰国用チケットの日付が先過ぎるとダメです。
しかし私のようにフィリピンに住んでる人の場合、一時帰国や海外旅行からフィリピンへ戻る度にフィリピン出国用のチケットを余計に買わなければいけません。
コレを準備しないとフィリピン行きの便のチェックインが出来ません。
キャンセルあるいは変更できるダミーとも言えるチケットを購入し、後で変更・キャンセルするというワザもありますが、非常に面倒くさい…。
運転免許が取れない
現在フィリピンではツーリストビザではローカルの運転免許は新規取得できません。
様々なトコロで取得にトライしましたがダメでした。
一部では『取得できる』という人もいます。
フィリピンだけに抜け穴はあるかも知れませんが、基本はダメです。
日本の運転免許(要翻訳添付)や国際運転免許で運転できますが、期限はいずれも
フィリピン入国後90日以内です。
期限は(国際)運転免許の期限だと勘違いしている人も多いと思います。
念のためもう一度書きますが期限はいずれもフィリピン入国後90日以内です。
90日を経過すると無免許運転になってしまうので、一度出国する必要があります。
それから交通事故などに備えて、運転時はパスポートも携行する必要があります。(入国スタンプの確認のため)
パスポートがスタンプやステッカー、レシートだらけに
延長手続きした回数分だけ、延長の証明であるスタンプやステッカー、あるいはレシートを張り付けていきます。
私の頃はシステムがコロコロと変わり、ステッカーとスタンプとレシートだらけに…。
レシートが証明の頃はレシートをパスポートに挟んでおくのですが、スタンプよりレシートがジャマでした。
長期滞在できるが、ビザとしてのステータスが低い(移民ビザではない)
移民ビザではないため、仮にフィリピンに家族や財産があっても保護を受けにくくなる可能性があります。
例えばちょっとした理由で入国拒否を受ける可能性があります。
2020年に流行した新型コロナウィルスの影響など、
人の流れを制限する際に真っ先に影響を受けるのはツーリスト。
逆にフィリピン人の配偶者がいる(配偶者ビザ)場合は、緩和措置を受けられたりします。
移民(≒移住)するものとしての審査を受けていないツーリストには当然そういった措置はとられません。
後述するコンプレインがあった時などにも、ツーリストビザ保持者だと厳しい対応をされる可能性もあります。
その他各種の制限
- 就労ダメ(不法就労になります。労働ビザ取りましょう)
- 留学ダメ(学生ビザか6か月以内なら特別就学許可を取りましょう)
長期滞在ツーリストビザ保持者の背景とその対策を考えてみました
ツーリストビザのメリットとデメリットを考慮し、ツーリストビザで長期滞在している可能性のある人の背景をあぶり出してみます。
まず、就労ができないので
- 自営業者
- 投資家その他経済的にゆとりがある方
- 退職者
あたりでしょうか?
さらに細かくツーリストビザ移住者の背景を考えてみました。
- フィリピン人の配偶者がいるが配偶者ビザが取れない(と思っている方)
- 既に取得していたビザが取り消しになった方
- 事情があってフィリピンに潜伏している方
上記の方のオススメ対処法
それぞれの背景に合わせて対処法を考えてみました。
自営業者
お仕事をされている特性上、多くの顧客、取引先、スタッフなどとの関わりは不可避。
同業者のやっかみなどもあるでしょう。
BI(入国管理局)でフィリピン人にコンプレイン(通報)された時など、対処に困ります。
※コンプレインの詳細は下記
配偶者ビザ、退職者ビザ、投資家ビザなど適切なビザを取得しましょう。
お仕事されている以上、ビザの取得は「リスク管理」ですし、取得費用は「リスク管理における経費」。
投資家その他経済的にゆとりがある方
フィリピンって社会全体がワキが甘い気がします。
ソコがいいトコロだったりもするんですけどね。
フィリピンでビザの問題を放置するなど、ワキを甘くしていると結果的にはお金を失います。
自営業の方同様、ビザの取得は「リスク管理における経費」です。
早期に配偶者ビザ、退職者ビザ、投資家ビザなどの適切なビザを取得しましょう。
面倒ならエージェントに依頼するなどしてお金で解決。
退職者の方
上記2項の方と基本的には同じです。
退職者ビザ取得は1万米ドル以上の資金が必要。
まとまったお金が有る人の場合は「財産の保全」の為にも取得されることをオススメします。
フィリピン人の配偶者がいるが配偶者ビザが取れない(と思っている方)
ワタシは実はコレでした。
取得の方法を1年近く探し、やっとのことで配偶者ビザにこぎつけました。
実はフィリピンのエージェントにあまり知られてない取得方法があったのです。
配偶者ビザが取れない全ての人が当てはまるわけではありませんが、詳しく知りたい方はお問い合わせください。
既に取得していたビザが取り消しになった方
ここまで経験値の高い方に私のようなヒヨッコがとやかく言うコトはありません。
存分にフィリピン生活を謳歌してください(笑)。
事情があってフィリピンに潜伏している方
こちらの方もワタシのアドバイスは要りませんね?
万が一捕まった時には日本へ送還されるコトを願うばかりです…。
さもなければ裁判が始まるまでフィリピンの留置所。
フィリピンの裁判は日本より時間かかるそうです…。
ツーリストビザの人は特に避けて通りたい!BI(入国管理局)へのコンプレイン
BI(入国管理局)他の各お役所には「コンプレイン」と呼ばれる不正を通報する仕組みがあるらしい。
外国人の悪行がBIに報告されると、BI職員が調査。
調査結果によってはビザはく奪などの重い処分が下ることもあるとか。
こういった時に「ツーリストビザ」は不利。
あくまで一般論ですが、ビザには「強いビザ」「弱いビザ」なんて呼ばれ方があります。
扱う役人から見れば、
- ツーリストなどの弱いビザ⇒「どうとでもできるビザ」
- 強いビザ⇒「手を付けにくい(手が付けられない)ビザ」
といった感じでしょう。
(※あくまで個人の見解です)
通報を受けて調査をする役人の立場を考えれば、実績なり袖の下なりもって帰りたいのが人情(?)。
日本でも「お土産」と言われる、役人の実績を持ち帰らせる慣習があります。
(税務署の調査、各省庁の企業への監査などなど)
フィリピンだったらきっと多少強引でもお土産(アラ)を探すでしょうね。
ワタシ、こんな理由でコンプレインされたことがあります
ある日、我が家に1通の書面が。
私は読めないのですが、なんでも『コンプレイン申請不備のお知らせ』のようなモノらしい。
ワタシ 「誰が出したの?まさかアナタ(奥様)?」
奥様宛にへ送られてきたこの書面。
身に覚えの無い奥様が調べたところ、とんでもない事実が発覚。
原因はある日の私と奥様の夫婦ゲンカ。
私はかなり冷静(に怒っていた)のですが、奥様がかなり大きな声で怒鳴っており、ご近所さんが数人集まってくるほど。
いや、そのくらいの夫婦喧嘩、フィリピンじゃ普通なんです。
え?普通じゃない?w
それはさておき、見かねたご近所の一人が、勝手にBIにコンプレインをしたらしい。
しかも奥様の名前で(笑)。
そんな勝手に作成したコンプレインなので書類不備だった様子。
『不備を補足しないと却下となります』という書面が我が家に送られて来たという顛末。
却下されてなかったら、ワタシがBIから取り調べされるんでしょうね?
…といか、勝手に垂れ込んだご近所さんにはワタシが被害者に見えなかったのだろうか?w
動画で解説
まとめ
タイトルに『違法?』なんて書いて煽りましたが、ツーリストビザでの長期滞在自体は違法ではありません。
しいて言えば『移住において無審査・無許可』の状態と言えます。
ツーリストビザはお手軽です。
本来の目的である観光や商用などでは重宝します。しかし記事中の理由から、移住や長期滞在の際にはオススメしません。
トラブルの時に余計なアラを探されるのは不快ですし、万一入国を制限またはそれを懸念されるようなことになった場合、迂闊に国外に出ることが出来なくなります。
万一フィリピンに戻れなくなった場合、フィリピンにいる家族やフィリピンにある財産は誰が守るのでしょうか?
フィリピン国籍を有しない外国人である限りその国に住むことを保証されてはいないのです。
ビザ取得の手間、費用面などから考えても移住の計画・準備段階から焦ってビザを取る必要はないでしょう。
しかしフィリピンで地に足が付く頃には適切なビザが取得できるよう、準備を怠らないようにしましょう。
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Comment
>元々出国する予定があり、帰り(フィリピン出国)のチケットがある人は問題ありません。
※帰国用チケットの日付が先過ぎるとダメです。
日付が先すぎるとだめ、との事ですがどのぐらい先までなら大丈夫なのかご存知ですか?
1年ほど前に成田のセブパシフィックの窓口で確認した時には、旅行日(成田出国日)から1年以内の出国チケットであれば大丈夫、との事だったのですが。
ワタシはジェットスターで3か月先の帰国用チケットでチェックインしたこともあれば、
「60日以内で無いとダメです」と言われてチェックインを拒否されたこともあります。
航空会社や時期によってガイドラインが違うので、おそらく「あいまい」になっているようです。
確認はフィリピンへ行く便のチェックイン時なので、詳しくは搭乗する航空会社に確認されることをオススメします。
がしかし、入国の判断はあくまでフィリピンの入管です。
フィリピンの空港(イミグレーション)でもチェックされる可能性があります。
(こちらは毎回チェックしているわけではなさそうです。)
延長VISA今はハンコシールで無く別にA4位の紙でもらえますよ!
五十嵐さん
はい。
私の頃もA4の紙はもらってたと思います。
でもそれ、持ち歩くの大変ですよね(笑)
記述したのは当時のハナシで、私は既にツーリストビザ卒業しましたので現在は知りません。
現在は五十嵐さんのおっしゃる通りなのかも知れません。
いずれにしても
●ツーリストビザは延長手続きが頻繁になる事
●フィリピンのお役所はコロコロ変わる事
お伝えしたい本文の趣旨は上記のとおりです。