フィリピン庶民の金銭感覚と金銭管理【現地サリサリオーナー語る】
フィリピン庶民は食品や生活消耗品のストック(まとめ買い)をしない人が多いです。
買い物は近所のサリサリストアでバラ買いです。
バラ買いでもまとめ買いでも単価があまり変わらないのはフィリピンの良いところ。
バラ買い自体は割高になりません。
でも市場やスーパーで買うより販売価格が高いです。
なぜならサリサリストアは市場やスーパーで仕入れたものを販売しています。
サリサリストアの利益が上乗せされる分、高くなります。
でも庶民は近くの店で必要なものを必要な時に必要な量だけ買うのです。
高いのに?なぜでしょう?ストア経営者の目線も入れながらいろいろ考えてみました。
サリサリストアはとにかく近い
私の自宅に構えるサリサリストア。
隣近所10軒に1軒はサリサリストアっていうくらい、サリサリはそこいらじゅうにあります。
みんな自宅の軒先等で副業としてサリサリ。最も手軽なサイドビジネスかもしれません。
スーパーや市場まで行くにはそれなりに交通費がかかる。
フィリピンは暑いからなのか、庶民でもあまり歩こうとしません。
どこへ出かけるにもジープやトライシケルに乗っていくので、買い物に交通費がかかります。
結果、ストック買いをしないフィリピン人は歩けばその辺に何軒もあるサリサリストアで購入することになります。
サリサリの経営者ですら、自分の店にないものは近所のサリサリで買うことがあります。
フィリピンの一般的な家族の事情から考える
フィリピンは基本大家族。食品類を多めに買ってもすぐに家族に食べられてしまいます。
所有権を主張しようが何だろうが食ったもん勝ちです(笑)。また犯人も見つからないでしょう。
また、使用人がいる家ではコメや日用品なども盗まれてしまう恐れがあり、多めに購入しておくことは危険です。
フィリピン人特有の金銭感覚というかおサイフ事情
加えて、まとめ買いする金銭的余裕もありません。フィリピン人は蓄財がニガテです。
まとめ買いする余裕があったら他のところにお金を使いたいんだと思います。
クリスマスでも誕生日でも、なけなしのお金をパッーと使ってしまうのがフィリピン人。
そのために借金や犯罪をする人も。
毎年クリスマスが近くなると金貸しとドロボーが忙しくなります。
私は12月にマニラに行くときは公共交通機関を使わずに自家用車で行きます。
車だとガス代やら駐車場やらお金がかかりますが、犯罪被害のリスクは下がります。
国民がお金を取っておくことができないというのはフィリピン政府も認めている事実。
フィリピンは給料を月2回に分けて支払うことが法律で決められているのです。
歴史から読み解くフィリピン人の金銭感覚と貧困
フィリピンの気候と食糧事情
フィリピンは冬がない常夏の気候。
食品が傷みやすく、かつ害虫や害獣も一年中活発です。食品の保存が難しい土地であるとも言えます。
魚を干物にしても雨季には湿気でカビが生えます。
加えて冬がないので、コメでも果物でも食料品が一年中収穫できます。
食品の備蓄がなくても食料が尽きることがあまりなかったのでしょう。
日本でも漬物などの保存食の文化が発展してるのは北の方です。
そのために古来より『備蓄』するという文化が庶民に根付いていなかったと考えられます。
植民地時代に根付き、今も続く社会構造
スペインやアメリカに統治されていた時代に本国よりやってきた富裕層。
支配階層の彼らと、それに取り入ったフィリピン人たちがフィリピンの富を吸い上げていきました。
16世紀にスペインの植民地支配が始まり、土地登記制度をがはじまります。
すると支配階層の人々はこの制度を利用して原住民から土地を奪っていきました。
原住民は『土地登記』なんて言われてもついていけません。
先祖代々から所有していた土地を次々と奪われ、奪った『大地主』と奪われた『小作人』のシステムが出来上がります。
『小作人』たちはわずかな賃金で労働を強いられ、貧困へと追いやられていきます。
フィリピンには『支配する側』と『支配される側』の大きく2つの層に分かれています。
誰もが『支配する側』に行きたいと考えますが、『支配する側』はそれを拒みます。
『支配される側』がたくさんいてくれないと『支配する側』は潤わないためです。
『支配される側』が出世できないシステムを次々と作っていきます。
- インフラや利権を掌握しないともうかる商売はできない
- お金掛けて大学に行かないとまともな職に就けない(大学行っても就職できない人も多い)
- フィリピン国民総じて権威主義。長い物には巻かれないと生きられない
- お客より経営者が偉いという感じの風潮
これらは私がフィリピンで生活、ビジネスしていて特に感じるところです。
搾取される側はいつまでも生活が向上せず、やがては向上心を失っていったのだと私は思っています。
そして庶民は『搾取されてる』という感覚が鈍っているのではないでしょうか?
つまりサリサリストアは先に述べた社会構造とうまくマッチし、『サリサリ=高い』けどしょうがない。
こんな軽い感覚なのかな?
まとめ
お金を蓄えることができて金銭感覚のある人だけが商品を備蓄し、富を得ることができる。
つまりサリサリストアを経営できる。
それができない人は近くのサリサリストアで延々と高いものを買い続ける。
…こんな風に二極化されていったのだと思います。
ちょっと極端な話になりますが、この両極化が進んだ結果が現在フィリピンの『貧困層』です。
2017年の主観的貧困率は47%です。
昔、社会科で『生かさず殺さず』年貢を課すというのを習いましたが、その支配構造が今も残っているのがフィリピンです。
ちょっとした小金持ちが、庶民が稼いだ金を効率良く消費させる『サリサリストア』。
『フィリピン社会の縮図』ですね。
これを経営しながら言うのもなんですが、ちょっと相手の足元見てる気がしてます。
でもこんなこと思っているのは私が『日本人』だからなのでしょう。
おおらかなフィリピン人は微塵も考えてないかも(笑)
フィリピン人の感覚でサリサリの利便性を考えると、
『自宅にストックができない』庶民は
『ストックできる人が経営する』サリサリがストレージ(倉庫)がわり。
サリサリという近所のストッカーを庶民は活用し、そこに対価を支払う。
こんなギブ&テイクが成り立っているんだと思います。
サリサリは一方的に搾取しているのではなく、フィリピン人にとって『無くてはならないもの』であることは間違いありません。
もしサリサリがなくなったらストックのできない庶民はますます苦しむことになります。
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